「ったくよー、禅の年中発情期野郎めっ。年下だからっていい気になりやがって」
ブツブツと文句を言いながらご帰宅した未茉は、
「たたいまぁー!!・・っあり?」
玄関のドアを開けると、よく見慣れたスニーカーが二足並べられていて、

「健兄!!匠兄!!来てるのっ!!?」
未茉は靴を脱ぎ捨てバタバタと廊下を慌ただしく駆けリビングの扉を開けると、

「おうーおかえりー。」

健がママの手料理を堪能しながら未茉に言い、
「…おかえり。」
匠兄は少し照れた顔で未茉を一瞬見た後、前髪で隠すように目をそらしながら言った。

「匠兄っ!!久しぶりッ!!!」

「おい・・俺にも挨拶しろ。」
キレる健も目に入らず久々の匠の姿に未茉は嬉しくなって後ろから勢いよく抱きつくと、

「わっ!!おい… 未茉」
「へへっ!!だって匠兄ちっとも顔出さないんだもん!!」
甘える未茉に自分の気持ちを自覚してから避け続けてきた匠の心は複雑だった。

(あー波乱ありだな。こりゃ)
そんな二人の姿を隣で肘つきながら見て予期する健。