「あれっ!!禅?」

練習の駅からの帰り道、家の近くのバスケゴールのある公園の前を通ると禅が練習していた。

「あ、先輩。」
こちらに気づいた禅も手を止めた。
「今日はおめでとっ!!!よかったなっ!!!」
軽やかな足取りで駆け寄ってきた未茉が満面の笑みで禅の背中をバンッ!!と叩く。

「いてて・・」
相変わらずの力に禅はひきつるも、自分の目に映るいつもの天真爛漫な笑顔の未茉に優しい笑みを向けた。

「今日は来てくれてありがとうございました。」

「おう!こっちもお前の試合見てたら、結構大事なことに気づけたぜ。さんきゅ!!」
「大事なこと?ああ。」
「おう!去年の…」
そう言いかけると、急に目の前に影がかかり視界が暗くなったと思ったら、

肩に手を置かれて禅は目を閉じてチュッ。とキスをした。


「大事なーーキス忘れてましたね。」 

あまりにも突然のキスに呆然と立ち尽くす未茉に、
「背中痛いな……」
禅はそう呟きながら祝賀会へと去っていった。


「はっ・・・・!!!」


数分間放心状態でフリーズしたままだった未茉はハッと気づくともう禅の姿はなく、
「禅んんんん!!!」
とただ叫び声をあげたのであった。