「おいっ!!白石!!お前まさかまた星河さんに言わなかったなっ!?」
そして何も勘づかない結城は未茉を取っ捕まえキレる。

「言わねーよっ!!だってアイツあたしより他の女が可愛いッつったんだからなっ!!」
「あ?」
「アイツの人生の中で一番超ー可愛い女だとよっ!!」
ボンッ!!と怒りのあまってリュックを投げ捨てると、
「おお、そりゃそんな女ごまんといるだろうが・・」
(でもアイツは何がなんでも白石を一番だと言いきりそうなのに。)
アイツにしては珍しいこともあるんだなと思いながら首をかしげるが、

「っーか、待て。その前になんでお前は星河さんに言わなかったんだよ!?」
「だって怪我してて国体予選出れるか分かんない時にそんなこと聞かすなって言うから!!」
「だからっておま・・」

「いーよ。結城。」
翔真は‘さんきゅ’と言いながら言い争う二人の元へやってきて結城の肩を軽く叩いた。
「よくねーだろっ!!お前は白石に甘すぎるっ!!」
「うん……まぁ、惚れた弱みというかなんというか……」
またおっとりとする翔真にまたまた呆れ返る二人。

「でもほら、健さんの性格的に怪我してて国体出れるか分かんないって本人はメンタル相当キツいと思うんだよね。」

「翔真…」
驚いたのは未茉だった。


バスケに誰よりも何よりもストイックで人一倍責任感の強い健の性格を見抜いていたからだ。
(この前あたしをからかってたけど、健兄弱さとか見せらんないから見せまいとして笑って振る舞うからな。)

「でももう俺、そう易々と何度も敵に塩は送らないよ。」

翔真はにこっと微笑みながら挑発的な目で未茉を見て、

「国体終わったら遠慮しないから。」

「!おー!臨むところだ!こっちこそなぁ、お前の骨抜き女には遠慮なんかしないからなっ!!」
「どーぞ、ご自由に。」
「なんだよ!その余裕!!絶対に国体で見つけてやるからなっ!!」
話が噛み合ってんだか、噛み合ってないんだかいがみ合う二人を見て
「付き合いきれない・・」
「もうほっとこうぜ・・」
呟く結城と三上だった。