「おい!てめぇはいつまで辛気臭い顔してんだよ!!」
一人遠くの海を眺め黄昏ながらボードに揺られる二階堂に結城は後ろから蹴りを入れる。

「うるせぇっ!!・・ってあれ!?未茉は!?」

ハッといつの間にかいなくなってた未茉を探すと、
「白石なら翔真と二人でいちゃついてる。ほら」
「なにぃい!!?」
未茉と翔真の交際など断じて許しがたい二階堂は三上が指差した方向を身を乗り出して見ると、

ざっぱぁあああんっ!!!

浜辺よりも更に遠く深い所に結城に突き落とされた二階堂は、

「てっ…てめぇっ!!結城ぃい!!なっなにしやがる!!」
190cmの身長はあるものの、足がつかずにもがいていると、

「へっへーーん!!ざまぁみろ!!」
中学時代からの因縁の相手への屈辱を卑怯な形で果たすどや顔の結城。

「くっそぉおおおお!!てめぇっ!!」
「その辺サメが出るって噂だぜ?」(嘘)
「はぁぁあ!!?」
「じゃあな。健闘を祈る。あっはははは」
「結城ぃいい!!ぜってぇぶっ殺す!!許さねえからなぁぁあああ!!!」
更に憎悪が増す二階堂であった。




そして取り残された二人は、

「んー。」
少し翔真は考えた後に……
「ま、いっか。」と呑気に頷く。

「よくねーだろっ!!」
やり返しを企み必死にボードへ向かって泳ぎ出す未茉の手を

ーーーグイッとボードとは逆の方に引っ張り、ニッと微笑み

「ちょっ!!」
放せよと振り返ろうとした時、

行かせまい。とギュッと後ろから翔真はを自分の体にしっかり密着させるように抱き寄せる。
「翔……」
彼女の濡れた髪を耳にかけながら、

「捕まえた。」

頬の側に唇が触れるか触れないかギリギリの距離での翔真の低い声はやたらと心臓に響いた。