「俺や東条のように、早乙女とかもそうか。未茉ちゃんが頑張ることによってそのプレーはこれからもっと多くの人に希望を与えられると思うよ。」

「翔真…」
「うん。」
優しく見つめ返し頬を撫でながらそう言ってくれる翔真の手にゆっくりと触れながら、

「ありがと!!お前っほんといい奴!!」
迷いがあった自分の心を打ち消すように握りしめた。瞼をギュッと閉じると、目頭には熱いなにかが込み上げてきたがすぐ拭い顔を上げながら抱きついた。

「でもあたしエマを越えたい。もっと上手くなりたい。」
「うん。俺も頑張るよ。」
「日本一か?」
「ま、いずれはそこにたどり着くんだろうな。そこはきっとこのままだと避けては通れないだろうし。」

鋭い眼差しの桐生嵐がこちらを見てるような気がして言葉を濁した。


「なんだよその曖昧な目標は・・」
「んー目指す!」
「なんだその頼りねーの!!適当か!」
「あははっ」

「あっ!!そういやっ!!」
ハッと大切な何かを思い出したように未茉は翔真の腕をガシッ!と握り、

「翔真って去年のあたしのプレーを見て惚れたの!?」

「ん?」
「だって前に言ってたじゃん!!初めて会った時から好きだったって!!あたしてっきり明徳で入学してからかと思った!!」

「んー。」
初めて知った真実に未茉は少し興奮気味に言うも、
「まぁーなっ、あの有言実行なかっこいいあたしに惚れてしまうのも無理はないっ!」
鼻高くしながら笑いバシバシ!と翔真の背中を叩きながら言うも、
「んー、そうだね。」
そしてまたどっちつかずの返事を返す。

「そっかー、じゃやっぱあれは翔真じゃなかったんだなぁー。」

少し残念そうに未茉は口を尖らせ、大股で石蹴りをしながら言った。