「あ、点決めたよ。東条弟。」
「えっ!?あっ本当だっ!!」
思いがけないカミングアウトに思わず一瞬気持ちがズレたものの、すぐに気持ちを試合に戻した。

世田中を追い込むもやはり強豪の底力を見せてくる王子中が、ラスト4Q一点差までに迫り、残り二秒

ゴールへと放った禅のボールに和希が合わせ試合終了のブザーと共にシュートを決め、
「「いやったぁぁあああ!!」」

劇的な逆転勝利を王子中がおさめたのだった。


「未茉っ!!」
その瞬間、背後から飛びつくように莉穂が抱きついてきた。
「わぁっ!!!莉穂っ!?」
思いがけない登場に驚くと、

「あれ…」
「東条さん久しぶり。」
にこっと翔真が微笑むと、
「…久しぶり」
あまり翔真をよくは思ってないのか、莉穂の声のトーンは下がり気味で答えた。

「しかし、禅の応援のつもりがなんか懐かしくて涙が止まらなかったー!未茉達来てるしさっ!」
「あたしもっ!!!」
お互いがお互いに同じことを思い浮かべてて涙を浮かべながらひしっ!!と強く抱き締め合うと、

「ちょい待ちぃ!!そこの二人っ!!!」

「「ん?」」
抱き合う二人に背後からドスの聞いた声に振り向くと、

「なんや一番大切な存在忘れとるとちゃうか?」

「え?」
「誰かいたっけ?」
二人で顔を見合わせ首を傾げてると、
「あほかっ!!総体全国優勝に導いたこの立役者静香様を忘れたんかっ!??」

「え、最後逆転のブザービーター決めたのあたしだったし。」
「そーよ。静香途中で諦めてたじゃない。」
静香に冷たくそういい放つ二人に
「しばくぞこらぁっ!!!」
ぷんすかぷんすかと顔を真っ赤にして怒る静香に二人に笑い出して、仲間にいれてあげて抱き合う。

(うーん。入っていけないなぁ・・・。)
と苦笑いしながらも翔真は女子三人の姿を温かく見守ると、