「今まで自分の為だけに勝つことを望んできた。自分が初めて誰かのために勝ちたいと思った。」
今まで色んな強い奴に勝負を挑んできた。色んな奴と戦ってきた。思うままに勝ってきた。
「あの日莉穂の為に、共に戦う仲間の為に、勝利を手にした瞬間、莉穂とみんなの笑顔を見てバスケをしていてあんなに嬉しかったことは今だかつてなかった。」
人生の半分以上をバスケに捧げてきたけど、バスケで大事な人を幸せにできたり、諦めないことの強さだったり、信じることの素晴らしさをあの時初めて知った。
「自信はたくさん身についていたけど、バスケットプレーヤーとしての誇りはあの時初めて身についたと思う。」
そしてまたバスケが大好きになった。
「ここの会場は、その総体の決勝会場だったから思い出しちゃったな。」
独り言のような呟きを翔真はとても優しい目で頷くように心地良さそうに聞いてくれるからつい止まらず話してしまったら、
「知ってるよ。」
「は?」
思いがけない言葉が返ってきた。
「俺も一年前、この会場にいたから。」
「は?!」
「見てたよ。未茉ちゃんのあの時の笑顔も涙も。」
「えっ!!嘘!そうなの!?」
驚きの声をあげるも、翔真は意味深に数秒見つめ返すもコートに視線を戻した。
「翔真、あたしのこと前から知ってたの……?!」



