「誰っ!?あの4番の外人!!」

世田中対王子中の一戦はハーフタイム終了し、第3Qに試合は突入すると世田中に大幅なリードを許し始めた。

「あの世田中の四番はマイクさんの弟だよ。東条とやりあってるところ見るとつい応援しそうになるなぁ。」
「あ?!」
「いや、嘘冗談だって。(そうでもない。)」
つい本音が出てしまった翔真は睨み詰め寄られる未茉に降伏の手をあげる。

「王子中って男子も強いんだね。」
「なんかあの四番すばっしこいなっ!!」
「聞いてる?未茉ちゃん。」
「ぬぁああああっ!!またボール取られたぁっ!!しかも世田のセンター、さっきからファウルしてんのに審判ちっとも笛ふかねーんだもんっ!!!」

「聞いてないね・・・。」

ーーードンッ!!!
ゴール前の接戦で明らかに王子中が倒されたのにファウルをとらない審判に会場もざわつき始め、王子中のベンチも総立ちで怒りを露にしてる。

「世田よりだね。あの審判」
さすがの翔真も母校ながらアンフェアに思えた。
「ファウルだろっ!?見えねーのかよっ!!!」
未茉はイライラしながら立ち上がり、手すりに手をかけて審判めがけて罵声を出すも、
「……」
審判は見向きもせず、選手とボールを追いかけてる。
会場中からはため息混じりの苛々の声が漏れ、もう駄目だという空気が流れてく。

「代わってやりてぇ~~!!!」
やきもきして足をジタバタさせる未茉。
「未茉ちゃんが代わったら確実に勝てると思うよ。」
「なんでお前はそんな悠長にしてられんだよっ!!!」
「・・・」
禅がいるから別に。と言いたい所だが、和希がいるからかわいそうだとは思い、

「信じることも一番の応援だよ。」

「……」
「この試合絶対に勝つつもりだから東条は未茉ちゃんに見てほしかったんでしょ。だったら最後の最後まで諦めないよ。」
「そっか……!!そうだよな!!いやーお前ってやっぱ仏のようにいい奴だよな!!さんきゅー翔真!!」

(仏……)
そんなこと初めて言われたなぁとぼんやりしてると、未茉はみんなのいる一階へと降りていってしまった。

(しかし、敵に塩送ってしまった・・・。)
「感謝しろよ東条。」
未茉の笑顔を見てため息ついてがっくり肩を落とすも翔真は面白くなさそうに肘をつきながら呟いた。