「何言ってんの?今まで散々あたしの力になってくれたのも、元気くれたのも翔真じゃん!!!お前こそあたしがどんだけお前のこと好きか分かってんのか!?」

「「ざわっ……」」
コートではちょうど第二Qが開始し、世田中がフリースローを打つ瞬間でまさに会場が静まり返っている時だった為、未茉の大声は無駄に響いた。

「は…?」
コートの上の禅はムッとし、
「バカ姉貴・・・」
和希は恥ずかしめに見上げ、
「まあまあっ♡♡」
一階席のママも気づき頬を緩め、
「え、それ今?」
マイク、鈴木カップルは苦笑いを浮かべ、
「まさか・・・アイツら」
お騒がせの二大エースのサボリに気づいた野村監督。

「バカじゃん翔真!あたしは、あんたがいるからもっとバスケ強くなってやろうと思った!日本一になってやろうと思ったのに!!嵐に言われてそのくらい悔しかったから!!」

「……!」

「あんたはあたしの中でそんくらいの力を与える凄い男なんだよ!!存在なんだよ!!あたしが選んだ男ならそれくらい分かっ……ーーー」
そういいかけると、翔真は未茉の腕を引っ張り抱き寄せ、
「ごめん。」
おでこをくっつけながら、見つめ合って翔真は力強く言った。


「俺が強くなる。」


「おせーよ。バカっ!」
不安を振りきり覚悟を決めた強い眼差しの翔真の髪をクシャッと撫でて睨みながらおでこをぐりぐりっと押しあてあうと、
「あははっ」
彼女にカッコ悪いとこ見せてしまった翔真はいつもとは少し違うはにかんだ笑顔を見せた後、

そんな自分をかきけすかのように人目もはばからず大きな両手で包むようにぎゅっと抱き締めた。

落ち着く匂いと温もりに未茉もまたゆっくり瞼を閉じ、その温かさと安心をくれる厚みのある背中に手を回してぎゅっと服を握った。