「やっぱり静香や未茉が予選決勝までいってあの試合見て、自分がレギュラーチームにすら選ばれず、ベンチにも入れない悔しさがあるって。」
王子のバスケ部員は男女別でも100人近くはいて、一番スタメンに近いベンチに入れるレギュラーチームからA、B、Cと分けられていて、BCチームはコートを使える日はそう少なく、莉穂はBチームにいた。
「俺は一応、Aチームのレギュラーにいて試合に出るチャンスはあるけど、スタメンは中々厳しくてさ、この前の新人戦で活躍して監督にアピールするチャンスと思ってたんだけどその日に限ってミス連発しちまって。それを見た莉穂に見切られたのかもしんねー…」
“私は絶対Aチームに入りたい。今はがむしゃらにバスケがやりたい。このままじゃ悔しい”
「でも俺が東条さんでも焦るかな。親友二人が活躍してるの見たら。」
「そうかなー」
「生半端な気持ちじゃ勝ち取れないって恋を捨てる覚悟したんだよ。」
翔真のその言葉に未茉も少し考えてしまったが、
「いい女じゃん。莉穂」
「え」
「何悲しんでんだよ!いい女に惚れたっつーことだよ!そんなカッコいい女いないぜ。」
ニッと未茉が微笑み、もう一度二階堂の背中を強く叩き、
「今度はお前がいい男になれよ。なっ?」
拳をつき出すと、二階堂はうつむきゆっくりと頷き、砂浜にポタポタと涙が落ちると、差し出された拳を軽く叩いた。
そんな二人のやり取りを見て翔真はふっと微笑み、
「いいじゃん。一度くらい振られたって。俺なら何度フラれても何百回フラれても、脈がなくても諦めないね。」
突然未茉の腕を掴んで引き上げて、二階堂に強気に微笑みながら、
「絶対口説き落とす。」
彼女の背中を引き寄せてなぜか彼女を見つめながら断言する翔真に
「カッコつけやがって!!」
握った砂をかける二階堂は寂しそうに海へと消えてく二人を涙で滲む視界の中、しばらく眺めていた。



