「なんで俺が東条を応援しなきゃならない・・・。」

スタンド席に座る翔真はげんなりした顔でコートを見下ろしながら言った。
「禅ー!!!和希ぃ!!!王子中ーー!!!負けんじゃねーぞっ!!!」
スタンド席から身を乗り出して大声で叫ぶ未茉に

「おいおいなんだあれ」
「可愛い人だけど」
敵チームが苦笑いを浮かべながらスタンド席に目をやると、

「未茉ちゃん、まだウォーミングアップ中だから。」
「なんだよ!試合の入りが肝心なんだよ!分かってんだろ!?」
「そりゃそうだけど・・・。」
少し気の毒そうに翔真は和希を見ると、

「白石先輩相変わらずだな・・。」
「和希先輩のお姉さん凄いですね・・・」
聞き慣れたチームメイトと初めて聞く声援にびっくりする後輩達に、
「姉貴の野郎ぉ・・・。」
和希は背中を丸くして恥ずかしさからシュートを外しまくると、

「禅くぅ~~~~んっ♡♡♡♡しっかりねぇ~~~♡♡♡!!」
反対側のスタンドからは目をハートにした未茉ママが誰よりも大きな声援で禅にエールを送ると、コケッと選手達はよろけ、
「か・か・かぁちゃんまで・・・。」
和希はますます顔をあげられなくなると、

「おばさんも相変わらず美しいな。」
禅は微笑み頭を下げると、
「おいっ・・お前マジやめろ」
和希はひきつりながらどっつく・・・。