「マジか…じゃあの方はあの東条大病院の次期婦人候補かぁ…」
「綺麗な人だもんな。っーか、俺あの人なんか動画とかでみたことあるよーな…」
誤報に部員達の呟き声が飛び交う中、


「おい禅!!なにして…ってゲッ!!?姉ちゃんっ!!!?」
会場から息を切らしユニフォーム姿で走って来たのは和希だった。

「「ね・・姉ちゃん!?」」
一年達は姉ちゃんと呼ぶ和希がやってくると驚いてその顔を二度見する。
「なんで姉ちゃんがいんの?」
「わかんねーけどいんだよ。」
「わかんねーって・・」

「え、っつーか和希生意気にスタメンなわけ?」
「当たり前だろ!!誰の子だと思ってんだ!!俺は一年からずっとスタメンだっ!!!」
「だってお前毎日ゲームとエロ動画しか見てねーじゃん。」
「おいっ!!!」
姉の暴露に近くにいた女子達がヒソヒソとこっちを見ながら小声で話している。

「と…とにかく時間がねぇよ!!禅行くぞっ!!」
和希に引っ張られながら、ゆっくりと禅は未茉の方を振り向き、

「勝ちますから。見ててHONEY」

そう指差してかっこよく宣言すると、

「何がハニーだ・・・」
歯の浮いたような台詞に呆気にとられてると、


「あのー!!あなた禅君の何んなんですか!?」
「そうよ!!禅君の彼女はこの子なんだから!!」
見計らってたかのように王子学院の後輩達が未茉に詰め寄ってきた。
「なんでもねぇって・・ただの後輩」
「そんなこと言って人の男を誘惑すんのやめてくれます?!」
「そうよそうよ!!隙あらば狙ってる癖して」

「狙ってなんか・・・」
でたでたこのパターン・・・と頭を抱えている所へ


「未茉ちゃん!」

次の電車に乗り込み走ってきた翔真は未茉の姿を見つけやっと追い付いたと安心しながら肩を叩き、女の子達に囲まれてるのに気づき、

「ああ…、この子が付き合う予定なのは、俺だから。」

「はー?何なにー…」
「いこ…」
突然現れた翔真の存在感に驚き女の子達は顔を見合せながらいずらそうにその場から離れてく。