「お前まだ俺のことも好きだな。」
あながち否定できないことを真顔で面白そうに自信満々に言った。
「ち・・違う！！」
「湊には黙っててやるから安心しろよ。」
ニコニコしながら弱味を握ったように笑う一枚上手の健に自分が言わなきゃいけないことは分かっていた。
「健兄っ！！あたしやっぱり翔真が好きなんだよ。」
「知ってるよ。」
「だから、つ……」
「つ？」
「き……」
「き？」
(付き合いたい……と、なぜにこの一言がこんなにもこの人の前でいいづらいものなのか・・・。)
「ん？」
そして目の前で足を組ながら横柄な態度をしながら未茉の言いたいことなどわかってるくせして、わざと尋ねてくるこの白々しさ・・・。
「だから、好きだから付き……」
と言いかけると、
「あ？まさか俺が今この負傷した腕で国体スタメン取れるか微妙な傷心な時に、まさかお前、湊と付き合いてぇとか言うんじゃねぇだろうな？」
「う・・・っーかっ！傷心じゃないじゃんっ全然！！態度いつもでかいしっ！！」
「あ？今、お前これ以上湊の‘み’の字でも出してみろ。今この場で犯す。」
「お・・おかっ・・・・！！？」
健の口から飛び出したまさかのワードに未茉は顔面真っ赤になり凍りついた。
「ま、無理矢理犯されてーなら、言ってみろよ。」
ニヤニヤした顔つきで肘をつきながらこちらの反応を楽しそうに見る健。
「で・・・出てけっ！！！」
「あはははっ！」
「今すぐ出てけっ！！」
「おー。今日はこんくらいにしとくか。」
ゲラゲラと笑いながら階段を降りてく意地悪な兄貴なのでした。
