「ていうか、健は悔しくねーのかよ。」
「何が?」
「未茉が湊なんかを……(この先を言いたくない。)」
「悔しい?悔しさなんかねーよ。だって俺、湊に負けてるなんて思ってねーもん。」
「!!?」
フフンっと強気に笑う勝ち気な健に嵐は驚く。
「まだまだ俺の目の黒いうちは二人は付き合わせねーから。」
「は?」
「そう易々と未茉は渡さねーぜ。」
「すげー自信・・・。」
「当たりめぇじゃん。俺が何年未茉を好きだと思ってんだよ。」
「はぁっ!?俺だって」
「いや、お前よりもずっと好きだったし、お前より断然未茉に思われてる自信あるね。」
「くぅ・・・・!!」
何度となく昔から図星をつかれ何も言い返せない嵐は唇を噛み締め震える。
「それにお前は未茉の本当のところを知らなさすぎる。」
「え……」
突然健の表情が一転し、何かを思い詰めたように呟いたので驚き顔をあげ、
「未茉の本当のとこ……?」
「ああ。」
「なんだそれ」
「ほらお前、未茉のファーストキス四歳の時に取ったつもりだろ?」
「なっ・・・!!!なぜそれを・・・」
思いもよらぬ言葉に真っ赤な顔で口をパクパクする嵐に
「残念ながら俺が二歳の時に頂いた。見ろ。」
「えっ!!?」
前のTVを指差しちょうど流れていたビデオがまさにその瞬間だった。
『みま!ちゅーしよーぜっ!』
『ちゅー??』
『うん。だいすきのしるしだ。』
『みま、たけるのことだいすきー!!』
『『ちゅっ♡』』
「うあぁぁぁあああああああっ!!!!」
嵐の叫び声は16年間信じていたものが次々と打ち砕かれた瞬間なのであった。