「おう、おせーよ。白石。っーか、なんですでに汗だくなんだよ・・・」

午後からの部活はとうに始まっていて堂々と遅刻して体育館に現れた未茉に結城は引きってると、
「ちょっとむしゃくしゃしてて一人でバスケ行ってきた。」

「なんだそれ・・お前。」

「白石!!お前遅刻しやがって!!片付けろっ!!!」
矢野からの怒りの一撃をくらい、ボールを片付けてると、

「おはよ。練習来ないから何かあったかと思った。」

転がったボールを取りにくるふりした翔真が仕切りカーテンを越えてこっそり女バスの未茉の元へやって来た。
「別になんもねーよ。」
イライラしながら翔真を見上げて睨むと、
「あ。」
「あ?」
何かに気づいたように翔真は手を伸ばし未茉の唇に触れ、

「切れてる。どうしたの?」

「びっくりした!」
「え?」
「キスすんのかと思った。」
唇に触れられ急に顔を覗きこむ翔真に目をぱちくりさせ驚くと
「さすがにここでしたら矢野さんに怒られるよ。」

「……あー…っつーか……」

(いつからかだろマジ。)
翔真といるとそんなことばかり考えてしまう自分に
‘ボールを見ねぇで湊ばっか見てんじゃねーよ’
あの嵐の言葉が過り、髪をかきむしった。