チュンチュン……

小鳥の囀りがどこからともなく響いてきて、優しい日差しがカーテンの隙間から差し込んでくる。

チクタクチクタク……
一晩中聞き続けた単調な秒針音。
「ぐがぁっ~~~すぴすぴ」
一晩中耳を塞ぎ続けた爆音のいびき声。

未茉の部屋で一緒のベッドで彼女と一緒の床に入った嵐は、

「いっ・・一睡もできねぇー。」

その理由は、
「ぶっ!!」
ドッシーンッ!!と嵐の顔に鉄拳を食らわせながら寝返りをうち、
「ん~~~」
ガバッ!!と大股広げて足を挟み抱きつき、

「マジで・・・蛇の生殺し」

ゲッソリとやつれた顔でちっとも疲れのとれない体を起こし、早朝ジョキングでも行こうとした時、

「ふぁぁぁあああ~~~よく寝たぁ!!」

「・・・だろうよ。」
寝起き爽快と言わんばかりにグッと両拳をつきあげながら気持ち良さそうに体を伸ばす未茉を睨みながら言った。

「どうしたお前クマ出来てるぞ。」
「おめぇのせいだろーが?!」
「あ?朝からカリカリしやがって。」
よいしょっと起き上がりながら、着ている服を脱ぎ出す。

「うぁあっ……!!!?なっなにしてやがるっ!!?」
真っ赤になる嵐は思わず手で両目を覆い被すも、隙間から見ながら言う。

「何って着替えんだよ。昨日着替えないで寝ちまったし。シャワー浴びてくる。」
ポイポイッとキャミソールと短パン一枚になった未茉にそれはそれでまた嵐の胸がドッドッドッ……と聞いたことないような音で鼓動が鳴る。

バタンッ!と扉を閉め、シャワーを浴びに階段を降りてく音が響き、

「あ~~~もーー。」

(ダメだ・・・。)
頭がパニック状態の嵐はベッドに力なく倒れこみ、片腕で目を覆いなんとか心を落ち着かそうとする。

(っーかこのベッド狭い。昔は広々寝てたのに体がでかくなったら二人で寝るにはさすがに無理がある。)
ここ数年は大概嵐の家で布団敷いて寝ていたから、このベッドで寝るのは小学校以来だった。