「いい加減にしろよなっ!!全く!!昔っからねぇちゃんが寝るとキス・・」
「だわわわわっ!頼む静かにしてくれ」
大声で言う和希の声に未茉が起きてしまうと慌ててむぎゅっ!と勢いよくその口を手で塞ぐと、

「ボールを持ったらオラオラなのに相変わらずねぇちゃんには臆病者だなぁ。」
「・・・。」
中三の弟が諭す立場のないインターハイナンバーワンプレーヤー桐生嵐、高一。

「ねぇちゃんは湊のモノだろ?」
「ちげーよっ!!」
「認めたくないのはわかんだけどさ、隠れてキスするのどうかと思うよ。」
「う・・・」
何度も言うが中三に怒られる高一。

「俺が発見してからだから五才くらいからチュッチュッさ、ねぇちゃんが寝るとこれ見よがしにキスしてたよね?」

「バッ・・・」
(バレてた・・・!!!)
ガーンッ!!と真っ赤になり穴があったら入りたい状態の彼。

「小さいうちはまぁ、俺も目をつむってきたけど、さすがに高一だろ?」
「ごっ・・・ごもっともです・・。」
「ファーストキスは自分の知らない所で嵐兄ちゃんだったとか、後で知ったらねぇちゃん傷付くぜ。」
「うっ・・・。」
「まぁ、ねぇちゃんに乙女心があるかどうか分かんねーけど。」

「き・・肝に命じる。」

「おう、気を付けろ。」
と偉そうに言いながら和希は、手のひらを出す。
「ん?なんだ」
「なんだじゃねーだろ。口止め料だよ。口止め料。」

「・・・!!!か、金かよ・・」

「当たり前だろ!もう仏の顔は三度までなのに三度とならず、俺の知る所ではゆうに何十回も超えてるからな。」
「・・・!!!」
「いいんだぜ?言っても?」
「だ・・ダメだっ!!」
「ねぇちゃん傷つくだろうなぁ~あ~へたしたら絶交だな。ますます湊のこと好きになるだろうなぁ~~~」

「ぐっ・・・・。」


「やったぜ~新しいエロ動画ゲットだぜ~!!」
なけなしの口止め料金を払い、和希はウキウキしながら部屋をでていった。

「野郎・・・あのセコさは姉貴譲りだな。」

なぜに自分の欲求不満は解消されないのにあやつの欲求を解消しなければならないのか・・・と、悔しさを滲ませる嵐なのでした。