「ばいばーい!お兄ちゃん!!お姉ちゃん!!」

夕方のチャイムが鳴ると子供達は嬉しそうに両手を振って公園を去ってく。
未茉と翔真も笑顔で手を振りながらベンチに並んで腰かける。


「未茉ちゃん子供好きなの?」

「おう好きだぜ!弟の瑞希も和希がいるしな。まぁ最近はすっかりオスって感じだけど。」
「ああ、そうか。」
「バスケやってる子供みると教えたくなるんだよねー!違げぇ!そうじゃないっ。こうだー!って体で教えんの。」

「あはははっ。スパルタ。」
「将来そういう仕事もいーなぁって思うなぁ~。」
暑さの和らいだ日差しに風が吹くと気持ちよさそうに束ねていた髪をおろし首を振る未茉。


「えっ、未茉ちゃんはてっきりプロかと思ってた。」
「うーん。プロってさ何十試合してラスト一試合するじゃん?どっちかっつーと一発勝負の一回きりの試合があたしは好きでよ。」
「ああ。そうかもね。」

「うちパパがクラブリーグも経営してんだけど、あたしはそこで育ったし、いつか教える側で帰ってきて、一人でも多くの子供達がさ、バスケが大好きになって日本がTVをつければバスケをやってるくらいの身近になればいいなぁって思う!!」

「うん。」
目をキラキラ輝かせて将来を語る未茉に見とれるような目で翔真は彼女の笑顔を映していた。


「翔真はさ、絶対プロだよ!!!NBA目指してさ!!」

「また壮大な・・」
「なんで!?あたしが翔真なら絶対NBA行くのに!!」
「嫌だよ。一人でアメリカ寂しいし。」
「寂しがり屋だもんなぁ~翔真は。」

「未茉ちゃんも一緒に来てくれるんなら行くよ。」

ベンチに肘ついて横向きになりニコッと意味深に微笑みながら顔を近づけて未茉の目を覗きこみながら言うと、

「行く行くっ!絶対行く!!結城も三上も連れて!」
「・・・いや。二人は連れてこなくていい。」
「そしたら毎日NBA見放題だなぁ~~♡いい席でよっ!!!」

隣でうはうはしながら夢を膨らませ妄想する未茉に翔真は安心した。