「国体で全国にのしあがってこいよ。相手してやるから。」

「はい。手加減して下さいね。」
「するかボケッ!!」
「あはは……でも俺も」
「あ?」
「不破さんともう一度プレーしたかったです。」

「……!」

「……なんて言うのは、社交辞令です。」
「おいこらっ・・!!!てめぇっ!!」
真っ赤な顔して拳をあげて逃げる翔真を追い回す不破を横目に、
「仲いーね。あの二人はホント。つーか、竜之介が翔真のことが大好きだからね。」
ららは呆れるように二人を見ながら笑うと、

「あっ!全国と言えばらら!」
「ん?」
「この前言ってた翔真が負けて泣いた相手って誰?」
「あ~!アレね。私も名前は分かんないんだけど物凄い上手い女の子っていうのは聞いた!」

「女ぁ!?」
まさかの相手に未茉は驚いた。

「天才って言われてた女の子が面白さ半分に翔真に勝負を挑んできたらしいよ。しかも桐生嵐との対戦前に。」

「!」
「なんだその話、まるでおめぇみたいじゃん!」
聞いていた結城は隣で笑いながら未茉に言った。

「あの翔真を負かすなんてよっぽどの女の子よね~見てみたかったなぁ~」としみじみと頷くららの言葉の向こうから断片的な記憶が掘り起こされてく気がした。


「天才……?嵐との対戦前……?」