ずっと散々振り回されて来たけど、こんな時に意味の分かんねーことを自慢げに言う未茉にまた涙が出てくるが、
(言わなきゃ……絶対言わなきゃ後悔する。)

「俺、未茉が……」
「あ?」
「未茉のことが……」

ーーーモガッ!!!
「!!?」
言いかけた時、突然背後から口を塞がれ、告白は遮断され、
「なにす…ふがっ。」
その手は見送りに来ていた星河兄弟二人のものだった。
「嵐!ほらおじさんがクラックション鳴らして待ってるぞ!!」
「そうだそうだ。すぐに行こう!」
「鳴らしてなんか…モガッ!」

笑顔の二人に強制的に引きずられるようにトラックへと連合されていき、
「嵐!またなぁー!!!」
未茉には満面の笑みで手を振られ、

「まったなぁー♪嵐」
ニヤッと舌を出しながら健に見送られるとトラックへと放りこまれ、
「くっそ……この野郎…」
発車するトラック。
過ごした東京の街と未茉を見ながら滲むくやし涙を浮かべると、

ポンッ!と運転席に座る親父の大きな手が俺の小さい頭を叩きながら言った。

「これからお前の世界が変わる。」
「……おう。」

(決めた。マジで世界征服だ。
バスケも未茉もぜってぇ俺がナンバーワンだ。キングだ。
バスケで健兄を越えてやる。……そして)



俺がバスケで世界を変えてやる。



約十後、その言葉通り、嵐は日本バスケ界に旋風を起こす存在へとかけあがったのであった。


桐生嵐side.