TIPOFF!! #LOVE SUMMER





食卓の時間や家族団らんの時間には常にバスケのビデオが流れていた。
バスケットボールの音と共存共鳴しあって生きていた彼女にとって、その道があるのに歩かないことがナンセンスに思えていた。

「絶対途中でやめたりしない!頑張るからぁ!!!」
「・・・うーん・・・」
可愛い娘が泣いてお願いする姿と、ママが泣いて心配する姿が浮かび清二の心は揺れていたが、

そんなこんなな空気を見抜き、いつもまとめるのは健の役目だった。
当時から子供とは思えない思考と賢さには周囲の大人でさえ脱帽していた。

「おじさん、未茉がバスケを始める条件を出しましょう。」
「条件?」
「毎日おばさんが用意した可愛らしい服を着て髪を伸ばすとか。」
にっこりと微笑む健がそう提案すると、清二はパンッ!!と両手を叩き、
「それはナイスアイディアだっ!!よしっそれならいいぞっ!!!」

「えーーっ!!!」
と嫌な顔全開だったが、渋々その条件を飲むことにした未茉は次の日からは髪を伸ばし、スカートを着て、少しずつ女の子の容姿へと変貌していった。

そして今に至るところはある。


「ママぁー!!公園でバスケしてくるー!!」
「ちょっ…… 未茉ちゃん!!」
ママのご希望通りにスカートを着て、可愛らしく髪を結んではいるものの未茉のガサツで男っぽい所は相変わらずで、幼稚園から帰ると靴を放り投げていつも嵐とバスケしに行く。

抜群の勘とセンスを合わせ持つ天才肌の未茉に対し、
「嵐まだできねぇのかよ。こうだろ。こう」
「くそぉ……」
センスや度胸はあったものの一つ覚えるのに未茉よりは時間のかかった嵐は家でも外でも幼稚園でもずっとできるようになるまで未茉に追い付くまで練習を重ねていった。

父親といい、未茉といい、側にいたのが俺よりも明らかに上手く敵わない人達のおかげで常に努力を怠らずに来れた。