……ダムダムッ……
その日の合宿所の体育館では、一晩中未茉の手から放つドリブル音と激しいバッシュ音が響いた。
「っーーはぁっ……」
そこには時間なんてものは存在しない。彼女の世界にはリングとボールしかないのかというくらい、朝までネットを揺らし続けた。
「え……」
「嘘、……白石!?」
明かりの灯る体育館の前を不思議に思い覗く、性懲りもなく朝方の密会をしていた橘と前原の目にはひたすらボールを投げ続け大量の汗が滴り落ちる未茉が映った。
「翔真!翔真!」
一年の部屋に向かい、いびきをかいて眠る男子たちの布団を忍び足で避けて、ふわふわ頭が顔だす翔真の布団を見つけ、
「翔真!おい起きろ!」
ペチペチと頬を叩き、他の部員達を起こさないように小声で起こす橘に気づき、
「ん……え?た……橘さん?」
うっすらとカーテンから日差しが漏れるものの明らかにまだ起床時間前なのに起こされ、視界いっぱいに険しい表情の橘が映った。
「起きろ。白石を止めてやってくれ。」
「え……」
「アイツ徹夜で練習しててまだ練習してんだよ。」
「え?!」
朦朧としていた意識がその言葉でようやく目覚めた。
「あのままじゃさすがに腕壊すぞ。」
昨夜やたら険しく苛立った表情で一人で練習していたことを翔真も知っていた。
‘もう九時だからそろそろ引き上げなよ。’とは忠告したものの、
「5時……」
時計を見上げた翔真はまさかこんな時間まであれからずっとやってるとは思わなかった



