負けず嫌いで意地の張り合いの1対1。

ーーシュッ!!
いつもこの野郎と思わせるくらいの憎らしいくらいのシュートを決めつける
「クソッ…!!」
パワーなど恐れずに全身全霊で奪いにくる未茉。
鋭さ光る眼差しときわどいドリブルで相手の懐に切り込む嵐。

互いのプレースタイルは長年二人で培ってきた努力の賜物。

ーーードンッッ!!

「ぅっわっ!!!」

いつものように手加減なしでぶっこんでいったら、未茉は体勢を崩し、
「わりぃ…未茉!」
思わず嵐のティシャツを引っ張り床に転がった未茉に

「!!」

覆い被さるようにして押し倒してしまった彼女の顔の数センチの至近距離に驚くが…

「しかし嵐お前、ますます力ついたな。」

ドキッとする嵐とは裏腹に未茉は顔色ひとつ変えずにそう笑った。

「昔はこんな力の差感じたことなかったのに。やっぱもっと食って太って筋肉つけなきゃダメかな。」

弱々しく少し寂しそうに笑う未茉の瞳にくっきり映る自分の顔に書いてあった。

(ムカつくーーと。)

「じゃねぇとマジこのままじゃお前に勝てなくな……」
立ち上がろうとするも、嵐は起き上がろうとする気配もなく、ジッと未茉を見つめてくる。

「なんだよ。どけよ。」

肩を押し退けて立ち上がろうとするも、力を入れられてるのかどく気配もなく、
「何やっ……」
瞬きもせず鋭くきつい目で未茉を見つめた後、目を閉じて唇を近づけてくる。