リングだけを鋭い目で見つめ真っ直ぐと右手を伸ばして音も立てずにネットに沈める嵐のフォームは十年以上見ていても未茉は美しいと思った。

「なんだよ。」

体育館一人でバスケをしていた嵐を未茉は壁に寄りかかりながら見てたら、気づいていた嵐は振り返った。

「相変わらずかっけーなと思って見とれてたぜ。」

「!」
「お前のシュートはマジ綺麗でかっけー。」
「あ…ああ…」
(なんだそっちかよ。)
分かっていたもののチッと心の中で舌打ちしながら嵐はシュート練習を続ける。

……ダムダム。
未茉は転がっていたボールを拾い、
「急に来て急にいなくなったから帰ったかと思って焦って探したぜ。」

「……」
「さっきまで外でバーベキューしてたんだぜ!お前飯食ったか??」
「……」
「ぅおいっ!!」
なぜか黙りを続けシュート練習を続ける嵐に怒鳴るも、

「……」
「・・・無視かよ。てめぇ。」

苛立つ未茉は、バコッ!!と嵐の頭をめがけてボールを投げると、

「いッ・・・」
頭を押さえながらも怒りをおさえ、無視して何事もなかったようにシュート練習を続けるので、

「のやろっ……!!」

まだ無視すんのかっとブチキレた未茉は、嵐のボールを追いかけ手を伸ばすも、スッと気配を消すように体を避けてボールに触れさせない。

「……っとに!」
(相変わらずうめぇー。)
昔は一日中一緒にこうやってボールの取り合いをしてきたのに、久々に感じても二人の体には染み付いている。

ダムーーキュッ……

すると次第に嵐も楽しそうに笑みを浮かべ、ボールを片手に吸い付けるように取らせまいと隠すようにドリブルを打つ。

互いの出方も癖も分かってる。

「あははっ。」
昔からボールがあれば言葉も会話も入らないくらい、何かが成り立つ空気が二人の間にはあった。