「湊君はねぇ、昔っから本当に優しくて。」
「だろーな。今で優しいのに昔怖かったら驚くだろ。」

「下世話なクラスの男子とは大違いで、」
ジャイ子は小学校時代をしみじみと思い出しながら目を閉じた。


『ジャイコー!お前当番やれよっ!』
『代われよジャイコー!』
放課後、何かと都合よくクラスの男子達に扱われていたジャイコはほうきを投げつけてサボろうとする男子に

『ちょっとぉっ!!もぉっ!!』



「ほら、私ってこの清楚でおしとやかな感じでしょ?だから男子達にも頼まれやすくて。」

「あ?どう聞いてもいいようにパシられてるぜ。それ。」
「違うわよっ!!!
そんな時はね、いつも……」


『合田さん。大丈夫?手伝うよ。』

「ニコッとあの紳士でさわやかで白い歯が輝く湊君が手伝ってくれるの。」
「紳士、白い歯っ!!!」
ちゃかしたようにゲラゲラと笑う未茉に、
「だまらっしゃいっ!!」

「っーかそれ人として当たり前だぜ。そんなんで惚れんの?」
「世の中にはね、人として当たり前のことできない奴がいっぱいいるのよ!!」

「そうよねっ!明菜!!」
そこに不機嫌さ全開のららが同調しながら加わってきた。

「どうしたんだよ。らら。機嫌わりーの?」
「あーあ。私も湊みたいな男と付き合いたいなぁ~~~。」
肘をつきため息つきながら遠い目をしながら言うららに、
「ほんとよねぇ~~あーんなにパーフェクトな男はいないわよねぇ~~」
うっとりしながらジャイコも翔真を思いながら同調する。


「ふーん。じゃあたしってパーフェクトな男と付き合えるんだな。ラッキー!!!」

あっけらかんと笑い大口を開けて肉を頬張りだす能天気な未茉に、

「「・・・・・。」」
言うまでもなくイラッとする二人なのであった。