「取りに帰るの面倒だし水着向こうで買うか。」
「ああ、いいね。どうせ今年新しいの欲しかったし。」

隣でウキウキしながら話すBIG3に囲まれて未茉は、気重に昇降口で上履きを履く。

「未茉ちゃん選んであげようか?水着。」
「引っ付くなっ!この変態!」
と肩に回された手をつねると、翔真は眉毛を下げてしゅんとした顔をする。

「今日も校門前が賑わってるなぁ・・。」
日に日に数は減ってくものの、BIG3や女バスファンの追っかけがまだ校門前で待ち伏せをしていた。

「仕方ねぇまた裏門から行くか。」
「ああ、だな。」
早々に引き返そうとした時、

「未茉っっ!!!」

「ん??」
名前を呼ばれ聞き覚えのある声に振り向くと、そこには王子学院の制服を着た生徒が立っていて

「あ!!駿!!?」

未茉を待ちわびていたのか名前を呼ばれると振り返り、二階堂駿は目を輝かせて抱きついてくる。

「「なっ……!!!」」
翔真はもちろんその衝撃的な光景に皆、凍りついてる。


「莉穂に振られた…マジ辛くて死にそう。」

「はぁ!?」
突然、ぎゅっと抱きつかれ涙ながらに訴えるようなさすがの未茉も困惑してると、

「駿!?どーした!?」

「はい、おしまい。」と翔真は間に入りペリッと未茉と二階堂を引き離し、

「気安く未茉ちゃんに触んな。二階堂。」
パキパキ…と指の骨を鳴らしながら二階堂を睨み付ける翔真。

「人んちの縄張りに入ってきて人の女に手を出すとは、何様だよお前。」

天敵・二階堂の出現に続いて結城も参戦し、胸ぐらを掴みかかりそうになると、

「あ?未茉が誰の女だって?」

聞き捨てならないその単語に脱け殻だった二階堂は目が覚めると、さっきまでの邪な空気から一転、殺伐とした空気になった。