「ジャイコのまともにくらって骨折した女何人もいるからな。」
不破はもうあれは無理だなと半田を見ながら言った。
「しかし凄いジャンプだったね…エマ……何メートル飛んだ?」
ららは息を飲みながら聞いた。
「桜蘭のユリのジャンプ力にも驚いたけど、エマお前のジャンプ力もすげーなぁ……」
未茉が尊敬の眼差しでエマに話しかけるもやはり無視され、狙いを前原の持つボールに定めていることに気づき、
「前原さん!!パス!!」
手を伸ばすよりも先に物凄い早さで前原の右手から奪い去り走り出す。
(早い-ーこれが日本女子最速)
味方すら戻れないくらいの早さに
「負けるかっ!!!」
ありったけの力を振り絞り未茉もエマを追いかけるが、
-ーダンッ!!
「「白石!!!!?」」
体の重心をずらしを翻弄されスピードで跳ね返り尻餅つく未茉。
そして余裕でシュートを決められていた。
「マジかよ白石が吹っ飛ばされた…!?静香や男にも打ち勝つ超人のフィジカルのくせして。」
「あんなにアイツがこてんぱにやられるなんて…」
信じられないようなものを見ているような明徳ベンチだった。
エマには簡単に置き去りにされ、緩急つけたドライブに惑わされてディフェンスで置き去りにされてポンポン打たされてしまい、床に倒されるも、
無表情で見下ろすエマは手を差しのべることもなく、ふいっと背を向け陣地に戻ってく。
「大丈夫?」
前原に差し伸ばされた手に捕まると、
「くっそぉお…」
しかめっ面して苛立つ未茉を見て一瞬心配になったが、
「絶対に負けねぇ…!!」
だが、相手がうまければうまい程、悔しい程に、勝ちたい気持ちが溢れだし、ボルテージが上がって夢中で走ってく。
……ダムダム
そしてドリブルしながら目の前に現れるエマを未茉は見つめていた。
(まだまだ温存してるなコイツ…)
「お前の本気をぜってぇあたしが出させて見せる…!!」
「…!」
何度簡単に抜かれても、這いつくばってでも、真っ向から食らいつくようなディフェンスに、エマは驚いていた。