「白石…センスあるな…」
少し甘く見すぎたなとやはり悔しいが自分の目に狂いはなかったんだと頭を抱え込む原監督に、
「まぁ、名古屋第一のナンバーワンガードを食っちゃうくらいの奴なんですから。」
ららは苦笑いで涙目の原監督を励ます。
「ついにエマが動くな。」
ボールを手にしたエマの動きが明らかにさっきまでとは別人だと瞬間的に察知した不破はコートから目を離せなくなった。
「白石とエマの一対一……!!」
ぴたりとマークするように未茉はエマのつく単調なドリブル音に耳を澄まし、視線を落とす。
この試合一番の集中力に空気が一気に変わった。
試合が始まって第2Qの今の今まで一度もエマは表情を変えない。眉一つ、目線一つ、変えなかった彼女の集中力が今、上がってく。
「確かに白石は日本の女子高生屈指のプレーヤーだ。でもエマの右に出る奴はいない。」
思わずベンチから立ち上がり原監督は祈るように言った。
-ースッ……
「!!」
ドリブル音も何一つ変えることなく後ろ向きに自然に下がっていって、顔を未茉に向けたまま自分の股抜きパスで明菜へボールを送る。
(早い-ー体全体が滑らかで、軽やかで)
受け取った明菜がゴールへと向かって矢野と半田二人を引き付けてジャンプをするが、
「!!」
エマが動き出したと同時に未茉も動き出すが、彼女は高く前へ高くジャンプし、
「空中でショルダーパスしやがった!!」
あとは軽いタップでボールを明菜の長身は悠々とゴールに捩じ込める。
-ーズダンッ!!!
「いっ……!!!」
勢いよく軽く1メートル吹っ飛ばされた矢野と半田は転がるように地面に叩きつけられ、
「ジャイコの野郎……」
矢野が睨みながら明菜を見上げると、
「まぁっ!なんてお口の悪い人たちなの明徳は!!ジャイコじゃないわよっ!!!」
フンッ!!と鼻息を荒げ戻ってく。
「いってぇ……」
(なんてパワーだよ……)
打ち付けた腰を擦りながら矢野と半田は立ち上がるも、
「え、大丈夫?」
「うん…」
雲行きの怪しい半田の声に野村監督に矢野は交代サインを出した。



