「矢野さん!ゴール前頼んだぜ!」
けれど未茉は、矢野の肩を優しく叩きながら言った。
「高さで負けても気持ちで負けない。あたしはずっとそうやってボールを追いかけてきた。」
ニッと強気な笑みを浮かべて走り出すその後ろ姿を矢野は眺めて、
(高さで負けても-ーか。)
綺麗事なのにすんなり耳に入ってきたのは、今だからかもしれない。そい思うと矢野は足元が少し軽くなった。
「ジャイコ!!!」
シュッ!とゴール前に送り込まれたパスを明菜が手を伸ばして受けとろうとした時、
-ータッ……!!
(白石みたいに優れたテクニックもスピードもないけど、一年の時から練習できなくても、試合に出れなくても、)
バッシュッ!!
明菜がドリブルを打ち付けた瞬間、かっさらうように矢野はそのボールを奪い走った。
「な…何事なのぉっ!?」
あまりにも一瞬の出来事にジャイ子は振り向いて急いで追いかけ走り出す。
「気持ちだけは負けなかったんだよ!!」
(バスケが好きって気持ちも。)
-ーバッ!!
そんな気持ちのこもったロングパスを送ると受け取った前原は、前を向き、
「「速攻!!行けぇっ!!!」」
桐谷の方に視線を送るも未茉にパスを送ると、そのまま流れるまま名古屋の四番を交わして、
ドリブルシュートを決めた。
「「うぉおおおっ!!!明徳っ!!!すげーっ!!」」
「「きゃぁああああっ!!!」」
明徳部員は男女抱き合って息の合ったコンビーネーションに湧いた。
「うん、うん。よかったよかった!!」
「よかった・・うっうっ」
中でも橘は感動的な名シーンに涙ながらにキタローと共に肩を取り合い喜んでる。
「やっぱり怪しいよな・・橘さんと前原さんって・・」
あんなに泣くか?普通・・・と、一部ではその仲の良さに不自然に思うものもいたが・・。
「「ナイスパスっ!!!」」
思わず喜んで明徳五人が叩き合うと未茉は
「やったぁー!!!」
とその一体感に満面の笑みでにっこり両手をあげて喜ぶと、
「「か・・可愛いい・・。」」
思わず翔真と嵐は声を揃えて見とれてしまうと、
「ハッ!」と思わず嵐は自分のデレッとした顔を叩く。
(俺としたことが・・こんな奴とハモってしまうなんて・・。)
くぅ……と不覚さに陥ってるその姿にまた翔真にくっくっくっと笑われてる。
「笑うなっ!!!」
「いえ、笑ってません。」
真顔に戻りそっぽを向いたのであった。



