「未茉っ!」
だが嵐の視線は未茉に向けられ自分ではない彼女の名を呼んでいた。
「未茉ちゃん!」
その声と同時にー-ー
翔真も未茉の名を呼んでいて彼女が振り向いたのは、
「おうっ!黙って見てろよ。」
ニッと親指を立てて未茉はお約束なセリフと共に翔真を指差して強気に笑って見せた。
「……-ー!」
(俺じゃない……)
声が届かなかったのか、反応したのが自分の声ではなく、その笑みを向けられたのは、自分でなかったことに嵐は酷く腹を立てて拳を握りしめた。
(試合に出るときは、いつも俺に勝つからなってアイコンタクトを送ってくれてたのに。
一緒にコートに立てなくとも、一緒に戦いに挑むんだって昔から以心伝心だとそうやってきたのに)
翔真が-ー嬉しそうに未茉に微笑む姿を見て、
「ヘドが出そうだぜ……」
腸が煮えくり返りそうだ。
-ーそんな嵐の表情を見ていたエマは、
「白石さん。」
「ん?」
「私は、あなたが嫌い。」
「!!」
突然の-ー告白に未茉も驚いたが、一番驚いたのは
「エマ…?」
「どうしたの?エマ?」
コート上の名古屋のメンバーだった。
いつも何を考えているのか分からないくらい無表情で感情の起伏を全く見せずに自分の世界の中で淡々と生きる彼女の言葉に感情が混じったことに驚いたのだ。
ピーーッ!!!
一瞬の動揺が走ったものの、試合開始のブザーが鳴った。



