「止めてみせますわよ!死んでもっ!」
くぅっ!と私情を交えながらタオルを噛む明菜をよそにエマは無表情のまま、羽織っていたジャージを静かに脱ぎ始めた。

「エマ、頼んだぞ。」
「…OK」
格下相手とはいえ試合前とは思えない程の全く緊張感のないエマを見て原監督はそれが最高のプレーをするエマだということを知っていた。


「しかし、あの白石が負けるとこを見れる日がくるとはな。」

フッ……と白石を見て原監督は満足そうに頷いた。

(……確かに無限の可能性とサラブレットとしての驚異的素質を秘めた白石がうちに欲しくて欲しくてたまらなかったが……)

くぅっ……とこちらでも拳を握りしめながら、原監督は涙ながらに唇を噛みしめ、断られた日のことを思い出しす。

‘名古屋ぁー?やだよー寮なんて。高は校は近いとこっ!近くの明徳でいーや!’
原監督がお願いしているにも関わらずソファーで寝っ転がりながら断られた屈辱を思い出していたのだ。
(100年近い我が校の日本女子バスケ最高峰の名古屋第一率いる名監督のこの僕直々に頭を下げにいったこの僕を!!苔にしたのも15年の歴史の中で彼女だけ・・!!!)

ぷるぷるっと怒りと屈辱に燃える原監督は、
「ふっふっふっ・・だが、うちにはエマがいる。エマは絶対に白石にも太刀打ちできまい。」

(今日たっぷり見せつけてやろーじゃないか。うちに入学しなかった後悔に明け暮れるがいい。見てろよ。白石め…)←ただの逆恨み。