名古屋第一の女子は、日本女子バスケ最多優勝の歴史を誇るが故に、名実共に女子バスケナンバーワンの伝統校で多くのプロ選手を輩出している高校でもある。

その強さと伝統を守る立役者は名古屋第一を率いて15年、敏腕監督の原監督にあった。

「よし。やるからには負けることは許されない。100点でも200点でも無限にとって名古屋第一の名の恐ろしさを叩きつけてやれ。」

「「はいっ!!」」
名古屋女子のスタメンに原監督は厳しくも余裕の表情で腕を組ながら告げると気合いの入った一同は体育館に響き渡る声で返事をした。

「エマ、明菜。白石を押さえるのはお前達の役目だ。」

「…はい。」
「東京ベスト2とはいえ、白石ありきのチームだ。彼女を押さえればはっきりいって余裕の200点ゲームだ。」

「ふんっ!それほどの女には見えないわねっ!私の方がいい女に決まってるわっ!!」
鼻息をあらげた明菜が明徳サイドを見ながら言うも、エマは無表情だった。

「彼女の身体能力はずば抜けている。あの体格でも180台の壁を平気でぶち破るスピードと突破力を持ち合わせてる。」

(正直、日本の女子バスケでもあの突破力はエマとひけをとらない。中学時代の彼女を見てどれだけうちに欲しかったことか……)
中学時代から未茉のスカウトに明け暮れた原監督は、涙ながらに過去を思い出して唇を噛んだ。