「プライドーー捨ててやるか。」
怯んだもののすぐにスイッチを入れた矢野がそう言うと二年女子も息を飲み準備を始めた。
「あ。」
たんこぶつけてコートに足を踏み入れると、視線を感じた未茉はエマと目があった。
『私の憧れの人が、いつもあなたの話ばかりをしている。』
『憧れの人?』
『桐生嵐。』
「嵐と知り合いだったんだな。そりゃそーか。エキシビションでも一緒だったんだもんな。」
未茉がエマにドリブルしながらそう話しかけると、コクンと静かに頷いた。
「小学校の時からの付き合い。」
「えっ!?そんな前から!?」
「…彼がいなければ、日本でバスケしなかったかも。」
「へえー。ってか日本語ペラッペラなんだなっ!!」
すっかり騙されたよっと笑いながらエマの肩を叩いた。
「……」
もっと違う反応が欲しかったエマはそのあっけらかんとした返しに驚いた。
「あの……」そう言いかけた時、
「分かってるかしら?」
ズンッ……!とその巨体はその優しい口調とは裏腹の明菜が未茉の前に立ちふさがり、威圧感たっぷりに見下ろした。
「わっジャイコ!!!!」
「ジャ・・・ジャイコですってぇっ!?」
ふんっ!!と真っ赤な顔をして怒りに震え噴火寸前の明菜は、未茉にピシッ!と指をさして
「この試合に負けてあなたが湊君に相応しくないとこの私が判断した場合、お付き合いなど言語道断!!!今後一切彼に近づくことは許さないわよ。」
「「「えっ!!?」」」
明菜の堂々たる発言には翔真も明徳部員達も驚く。