「み…湊君っ……ヒックヒック」

ピタッと泣き声が止まり、真っ赤な顔して涙いっぱいの瞳で翔真を見つめた。

「「「と・・止まったぁ・・・。」」」
一同はホッとし、キィィンとした耳鳴りに冷や汗を流した。

「明菜ちゃんの手紙嬉しかったよ。クッキーも美味しく食べた。」
「湊君……」
「気持ちに答えてあげられなくて本当にごめんね。」
誠意を見せて謝るその紳士な姿に明菜は再びグッと胸を熱くさせる。


「うっわ。ジャイコの目がハートじゃねーか。マジ地獄絵図・・。」

男のような骨格と伸長と体格にも関わらず、可愛らしい髪型とリボン結びのポニーテールがトレードマークの恋する明菜を見ながら思わず本音を溢す不破をバコッと隣でららが蹴りをいれながら、

「そういえばずっと好きだったよね明菜。」
昔を思い出すもまだ好きだとは思っても見なかったと、感慨深くしみじみとららが呟くと、

「…白石さん?」

にこにこっと笑顔で明菜はこっちへやってくると、
「デ・・デケェッ!!!」
女をこんなに見上げるのは、初めての体験に未茉は思わず大声でたじろぎ、

「静香と石井さんよりデケェ女初めて見たな。」
「もぉっ!!デケェッ、デケェッって何度も言わないでよっ!!レディーに向かって失礼しちゃうわね!!」

「あ?レディー?バスケでデケェーのは誉め言葉だろ。それよかお前のその顔と体に似合ってない頭のリボンおかしいぞ!」

「まっ……なっな!!!!」
怒りで口を震わせパクパクとする明菜。

「おい・・・。アイツの方がよっぽど失礼だぜ。」
名古屋部員が決して本人には誰にも言えなかったことをさらりと言ってしまった未茉に不破は苦笑いでひきつるららを突っつく。


「まぁ、いいわ……」
ひくひくと口元をひきつらせながら、明菜はもう一度首をかしげて笑顔を作り直して、

「あなたが湊君に相応しい女かどうかを私が見定めてあげるわ♡」

「・・あ?」
まだ耳鳴りが残る頭をあげながら未茉は不機嫌に聞き返した。