「湊君の好きな人……」
“俺の好きな人……”
“俺の好きな人……”
彼女にとって残酷な現実がショックで真っ白な頭の中をその言葉がエコーで何度も繰り返され、
バタンッ!!とその場に大きな震動をたて床に倒れた明菜に
「お・・・おいっ!だ大丈夫か!?ジャイコ」
その様子を伺うように不破が恐る恐る手を伸ばすと、
「いってぇぇっ!!!」
ーーゴチィィンッッッ!!!と不破の顎を打ち付けながら明菜は急にムクッと起き上がり、
「あ・・やばい・・これは」
その様子にららの顔がひきつりだすと、
「やばい・・」
「やばいなジャイコがキレる」
名古屋女子達がざわめきだし、耳を押さえながら少し離れようとしていて、
「ん?なんだぁ?」
そのおかしな様子に未茉はキョロキョロと周りを見渡すと、皆が避難体制に入っていた。
「未茉!!耳塞いで!!」
ららに引っ張られそう促されたその時、
「うぁぁああああああああああああっ!!!!!」
明菜は合宿所全体に響き渡る程の雄叫びをあげて泣き出した。
「なっ……なんだぁっ!!?」
離れたコートにいたエマも嵐も耳を塞ぎながら驚き、
「「「なんだなんだ!?どうしたんだ!!?」」」
明徳部員達や引率者達も慌てて声のする体育館の方に駆け足でわらわらと集まってきた。
「湊君がぁぁぁっ!!!私の湊君がぁぁぁぁっ!!!うあぁぁあああああーーんっ!!!!」
水道管が破裂したように溢れ出す涙と地鳴りする程の大声で泣く明菜。
「なっなんだあの女はっ!!」
「うっうるせぇ!!」
結城達も体育館に駆けつけると耳を塞ぎながら明菜を見る。
「だ…誰か泣き止ませろっ!!」
意識を吹っ飛ばすには充分すぎる程の大声量の声が頭に鳴り響き、
「おいっ!翔真!鼓膜が破れるぞ!近寄んな!!!」
不破の忠告も無視し翔真は明菜の側に行き、
「明菜ちゃん。ごめんね。」
この大声量が全くこたえないのか、いつもと変わらない翔真は明菜の背中を撫でながら謝った。



