「びっくりした。」
「何が?」
「想像以上に可愛くて。」

午後練が終わり一時間休憩になるとららに取っ捕まえられて、メイクを施された。
‘何すんだよっ!!’と嫌がる未茉にビューラーで睫毛をあげマスカラを塗ってチークとグロスを塗った簡単なメイクだったが、

「別人…!」
元々端整な顔立ちの未茉の顔は母譲りのモデル並みの可愛さに変貌を遂げていた。


「なんか女装してるみたいで気持ちわりぃ。」
「え、未茉ちゃん女の子でしょ?」
「多分な。」
「多分・・・?俺にはどう見えても未茉ちゃんは女の子にしか見えないけど…。」
「そうか?みんなには男みたいって言われるよ。」

「本当に男みたいだったらあんなにあっちこっち色んな奴にコクられたりはしないよ。」
「うわっ!手がピンクッ!!」
聞いちゃいない彼女は汗を拭った自分の手にチークの粉がついたことを驚いている。

「あははっ。なんか大変だね。」
「おー。もう化粧はいいやー。」

中身はいつもの同じ未茉なのに、無意識の上目使いで翔真を見るいつもと全く違うガーリーなファッションの彼女にまた心臓の音が高ぶるばかりだ。

「スカート持ってきてたの?」
「ああ。これはスカートなんか持ってきた覚えなかったのにバッグの奥底に入れた覚えのないピンクの袋があって。」
「ピンクの袋?」
「なんだこれ。と思って開けたらメモ紙と服が出てきて」

【未茉ちゃん♡♡湊君とのデート服です♡】

「あははははっ!!」
翔真は未茉ママのナイスな仕込みに腹を抱えて笑い、
「その袋、ママチョイスなんだ?」
「あったり前じゃん!こんなヒラヒラのスカートなんか誰か着るかっ!」

「しかも、またピンクの袋の中からピンクの袋が出てきて何かと思って開けたら、」
「うん。」

【未茉ちゃん♡湊君に全てを任せなさい♡】

「すっけすっけの下着まで入れやがってあのクソババア・・・」
「あはははっ!」
その想像もつかなかったまさかの仕込みにまた腹を抱えて笑いだした。