「大成34対名古屋第一82……」
「なんだこの点差…」
映し出されたのは、まず点差の開いた得点板に、エース田島が身動き一つ取れずに疲れた表情を浮かべる姿。
「……田島さんのあんな顔初めて見た」
なすすべもなく重い足取りでコートを戻るその不自然な彼女の姿に二年女子が驚いたように呟いた。
「ああ。この子が女神か。」
次に映し出された名古屋の七番を背負った彼女の後ろ姿を見て未茉はすぐに気づいた。
肌の色、毛質、足の異常な速さととんでもないスピードは日本人ではなかった。
「黒人?」
「ううん。アメリカとジャマイカのハーフ。日本生まれなんだけど中学までアメリカにいて高校からはこっちに来たの。」
「通りで。」
こんなずは抜けたプレーヤーがいたら中学の時から名前くらいは知ってるだろう。
「これでまだ一年。白石。お前と同じだ。」
「一年……!!?」
「エマーーー日本だけじゃなく、海外でも日本女子バスケ界の宝と称されている。」
(……エマ。)
彼女の手からボールが消えたように打ち付ける高速ドリブルを武器に果敢に中へ切り込み、静香や石井さんの180センチの壁をものともしない。
「大成のこれだけの高さとパワーのある相手にものともしない。エマは絶対に確実に自分で決める。」
彼女は自分達を高さと強さで苦しめた大成を意図も簡単に打ち破るようにいつの間にかネットを揺らしていた。
「お前より早い女を俺初めて見た…」
結城もゴクッと息を飲みこみながら未茉を見て呟いた。
箸を持っていたみんなの手が止まるほど、朝から全国頂点の力の差をまざまざと見せつけられた映像だった。
「天才なら分かるだろ?今のお前がエマに勝てるわけがない。」
勝ち誇った顔して味噌汁をすする不破に
「なめんなっ!!!いつか絶対に勝ってやっから!!!」
バンッ!!!とテーブルを叩きつけ、未茉は食堂を出ていった。



