「キタローなんだって?」
「心配ないって。新川さんも目を覚ましたらしいよ。」
翔真はスマホを切り肝試しコースを片付ける未茉に言うとホッと胸を撫で下ろした。
「落とし穴でコケたらしいよ。」
「あははっ!!やったぜっ!」
満足そうに微笑む未茉に、
「可愛いお化けだね。」
翔真は白い浴衣姿の未茉を改めて見て言った。
「えー?みんな目の色変えて怖がってたのに。翔真つまんねー奴。」
「うーん。こんな可愛い幽霊に誘われたら霊界への道も悪くないなぁ。」
「何言ってんだ?」
「ううん。」
そっと大きな手が自分の手に絡められて歩き始める翔真の柔らかな表情を見上げて、
「翔真って寝起き機嫌悪いんだな。」
「え?」
「間違えて部屋入って電話の声で起こしたら睨んできたじゃん!」
「睨んでなんか…」
「いーやっ!睨んだねっ!」
「睨んでないよ。不機嫌だっただけで。」
「同じじゃん!!!」
「違うよ。」
未茉の手のひらをまた握り直して立ち止まり、
「星河さんと楽しそうに話す未茉ちゃんの声が聞こえて不機嫌にならないわけないじゃん。」
「あっ!!」
未茉は嬉しそうに翔真を指差して笑った。
「ん?」
「餅だっ!?」
「餅?」
「そう餅!」
「ああ…やきもちね。」
「なんで焼き餅って言うんだろうな?」
しみじみとよく伸びるお餅の絵が頭の中に浮かび考える未茉。
「そんだけ好きってことなんでしょ?」
結城が言ってたことを翔真は口にすると、
「やったぁ!」
手をあげて喜ぶ未茉に
「なんか自分だけお餅はやだからなっ!」
「・・・??」
その定義がよく分からない翔真は頭を傾げる。



