嬉しそうに瞼を落とし微笑む翔真は、自分の胸の中に閉じ込めたくなるような愛しさから両腕を囲うように抱き寄せ、

「このまま持って帰りたいな。」

「持って帰れるんじゃない?中々起きなそうじゃん。」
「あははは。」
試合で勝った時の充実感や達成感の笑顔とはまた全然違い、片想いなのに幸せそうに満ち足りた様に笑う翔真の子供のように素直な表情に三上はふと思っていたことを口にした。



「…あのさ、ずっと翔真に聞きたかったんだけどさ。」

「ん?」
「なんで明徳選んだの?」
「……」
「俺は、大学ではバスケするつもりない分、高校はバスケ中心の生活送りたかったから、それには世田中の俺ら三人でバスケできるなら正直どこでもよかったけど、まさか明徳くるとは思わなかったよ。」

「ごめん。俺のワガママに付き合わせて。」
「いや?翔真のワガママなんて一緒にいた三年でこんくらいじゃん。」
「悪いと思ってる本当に。」

「なんで明徳?学校説明会で白石に会ったから?」
推薦が来てた大成や、全国が狙える王子を蹴ってまで明徳に来た理由は未茉しかないと三上は思っていた。

「会ってまもないのに、ずっと白石のこと追っかけてるじゃん?」
「うん…」
真剣な眼差しで頷くも、言葉を詰まらせているところを見るとこれ以上問い詰めない方がいいと三上は察したが…

「マイクさんもいるし、二人は大成に行きたかったよな?本当にごめん。しかも全国も逃して本当に悪かったと思ってる。」

「まさか。明徳に来たこと俺も結城もひとつも後悔してないし、むしろこの選択を感謝してるぜ。」

「ありがとう。」
ずっと胸にあった後ろめたさからかホッとしたように顔をくしゃとさせて微笑む翔真に、それに応えるように三上も優しく頷いた。