「ここは出る・・・。」

ギョロリとその片目を光らせキタローが確信し、スタートラインで待つ不破はライトと地図を受け取ると、
「えっ・・・!!!お前・・・霊感あるのかっ!?」
「ある。」
ただならぬ気配で頷くキタローはお経を唱えながら顔面蒼白になってく。

「うぉおおおおっ!!!」

その時、薄暗闇の中で遠くからただならぬ声をあげながら白装束に扮装し未茉にお化け役を押し付けられた結城が物凄い勢いで駆け足で戻ってくると、

「で…出たぁぁぁああっ!!!」
大絶叫し全身を守るようにしゃがみこむ不破に、
「結城ですよ。不破さん。」
翔真の言葉にハッ!と我に返り、ビビってないふりして何事もなかったかのように
「お・・おう」
平然を装う。

「で・・出た・・・!!!」
はぁはぁっと息を切らしながら戻ってきた顔面蒼白で汗びっしょりの結城は、キタローに詰め寄る。

「後ろの墓から女の声が・・。」

それだけ告げると気絶するように結城はガクッと息絶えた。
「ゆ・・・結城ぃぃいーーー!!!」
と血走った目を見開き大絶叫をする不破。

「やはり…。」
「なっ……何がやはりなんだよっ!?」
納得したように頷くキタローに震えと鳥肌が止まらない不破は詰め寄る
「さっきから女の邪気が…」
「えっ!!?」
「この辺を覆ってる…」
「えっ!!?」

そこへ女子と唯一平然とした顔で戻ってくる三上に
「三上っ!!お前は無事だったのかぁっ!!?」
今度は三上に詰め寄る不破に、
「何がです?」
「お化けに決まってんだろ!!」
「はぁ…。」
いつだって冷静沈着な三上は本気でお化けを信じちゃってる破壊王・不破にひきつる。

「三上、お化け役の結城がダウンしたから俺がお化け役やるから誘導係代わってくれるか?」
キタローが三上に箱やグッズを渡し、結城が着ていた白装束を脱がして身に纏うと、
「お前が化け物役やったらリアルにマジでこえーじゃねぇーかっ!!?」
勢い余って思わずキタローの襟元を掴むと、

「ニタッ…」と微笑み、
「ヒイィィィッ!!!出たぁぁぁぁぁぁ!!!」
腰抜かしてひっくり返る不破に、

「だから北ですってば。」
もう笑うよりも呆れるしかない翔真であった・・・。