「聞いたぜ?嵐に負けて泣いたって話」
ニヤニヤと笑う未茉に
「うっせぇーぶっ殺すぞっ!!」
「今回のインターハイではあの日の屈辱を晴らすって竜之介言ってたのに、その前に破れたから戦うことなく終わったけど。」

「簡単に言うんじゃねぇ!!アイツはなぁ、は別格だ……あれは高校生なんかじゃねぇ。」

思い出すだけで悔しいのか、いつものキレ口調から一転、不破は急に肩を震わせ拳を握りしめながら言った。

「プロでもアイツに敵う奴なんかいないーーいや、日本でアイツに敵う奴いねぇ。
そのくらい恐ろしいスキルを生まれもってきやがった。」

「……」
「何年もアイツを倒す為に頑張っても会う度にムカつくくれぇ強くなりやがって差をつけられてくんだ……」

「おう。分かるぜ。不破のその気持ち」
珍しく共感すると、
「あたしも幼い頃からのライバルだったし、ガキん頃からアイツだけは常に高い目標持ってやってたぜ。少中高って全国のタイトル総なめしてNBA行くから、体作りだけして大学はもうアメリカって決めてるからな。」

「スケールがでかすぎだけど、着々と夢叶えつつあるねー。」
嵐の名前を聞くとそれが夢物語ではなく聞こえずかなり現実的なものだと思うから不思議だった。


「お前はなんで嵐の知り合いなんだ?」
「嵐の父ちゃん母ちゃんも元バスケット選手だし、うちのパパ同士は同じチームだったし、昔から仲良しで生まれたときは近所に住んでたんだぜ。」

「「はっ?!」」

「ガキの頃から嵐は上手かったよ。アイツは規格外だってうちのパパの教室でも昔から一目置いてたし。」
「ちょっ…ちょっと待て・・お前の父ちゃんも選手なのか?!」

「おう、白石清二の娘だぜ!!」

「「えぇぇぇえっ!!?あの日本人初のNBAプレーヤーのぉぉお!!?」」
「なっ・・なんつっーサラブレッド・・・」
通りでその上手さ・・・とららは納得してると、
不破は未茉を見ながら、
「そうか……じゃお前があの時の翔真の……」
と何かに気づいたように頷くと、

「あ?何?」
「な…なんでもねぇーよっ!」

一人で何やら考え込む不破であった。