「桐生嵐ってあのインターハイ歴代最多優勝を誇る超名門校全国ナンバーワンバスケの福岡高校に入学した桐生よ?!中学で初の日本代表の偉業を成し遂げた驚異のキング!!」
興奮止まない未茉の肩を掴み、顔を近づけ興奮するららに

「おい、唾飛ばすなよららっ!」
「その高校生史上もっとも異才児と呼ばれる一年ながらにエースの座を奪い取った桐生嵐よ!?」
「そーだよそーだよその嵐だっつーのっ!!」
何度もうるせーなっと嫌な顔して耳を塞ぐ未茉に

「知り合いなの!?知り合いなの!?」
肩を掴まれ首をガックンガックンッと揺さぶられながら問い詰められる。


「あたし、キングのプレーの大大大ファンでっ!!CMも録画してるし、見てよっ!!インターハイで写メまで撮ったんだからっ!!!」
スマホを取りだし、証拠写真だと言いながら、嵐とのツーショット写メを目の前に差し出してくる。

「嵐だ。なんか久々だなぁー!」
「えっ!!久々?」
「うん!昔は一ヶ月空けずに会ってたのに中三の冬に会ってから会ってねぇーなぁ。元気かなぁー!?よし!電話してみーよぉっとっ!!!」
「うっええっ!!?電話!!?」

スマホを取りだした未茉はあぐらをかいて発信ボタンを押す。

「で、で、で、電話ってキングにっ!?嘘ぉ!!」
真っ赤な顔を押さえ、ららは震えながら心臓をバクバクさせながら携帯に耳を寄せると、

「おー!!嵐っ!?」
「出るの早っ!!」
「元気ー!お前は?」
「嘘っ!!本当に本当に本物っ!?」
「あたしー?今軽井沢!軽井沢の合宿所!」
「ねぇっ!!ねえってば!!本物なの!?本物のキング桐生嵐なの!?」

「うっせぇーよっ!!!ららっ!!電話してんのに隣で大きな声で喋んなっ!」
未茉は携帯を離しながらららに怒鳴ると、
「だって!だって!キングがあのキングが今電話越しに繋がってるなんて!!信じらんないっ!!!」
「スマホなんだから繋がるに決まってるだろ?!」
「ヤバイ!!心臓がドキドキし過ぎて酸欠!!あのキングが・・・」
「おいっ・・・大丈夫かよ。」
「興奮しすぎて鼻血でる」
「えーっ?!もうーティシュッあ、嵐わりぃーけどまたかけ直……」
とスマホを取り言いかけると、

『ツーツーツー……』
「あ、切れてる。」
「嘘っ!?なんでぇ!?」
ティシュを鼻に詰め込み我に返るららに
「ららがうるせーからだろ!?」
「だってだってぇっ!!!キングにあのキングとプライベートで話せるなんてヤバすぎる!!」
「お前のその興奮の方がどう考えたってヤバすぎるだろっ!?」