「なんか想像つくぜ。アイツのそういうとこ。」

「監督にもさ、‘ポディションはどこがいい?’っ聞かれても、どこでもいいって答えるから、竜之介に押し付けられたこと素直にやるし、本当は竜之介とエース争いできる程の実力はあるのに控えめというかのんびりしてるっていうか。」

「あはっ。今とあんま変わってねーじゃん!!だってアイツ負けてもさ、‘この相手なら負けても仕方ない’みたいな納得した顔するし。感情をむき出しにしねぇからな。」

「だから昨日、湊があんなマジで挑むなんて驚いたよ。」
「そっかー見たかったなぁ~」
そんな試合以外でマジに挑む翔真を見てみたかった未茉が呟くと、

「あ!!でもあたしあるよ!!湊が一回だけ負けて泣いてんの見たことあるんだ。」
「えっ!?翔真が泣くぅっ!?」
そりゃ人間だろうから泣くんだろうけど、あのゆるキャラ翔真がバスケで悔しくて泣く姿なんか想像がつかなかった。

「不破と戦って泣いたの!?誰?それとも全国のつぇーやつ?」
「そう!そう!でも名前は忘れちゃったなぁ…」
「そっか。翔真に今勝てる男なんて全国でそういないだろうな。」

「やっーぱりっそれは、バスケオブキングの桐生嵐じゃない?!福岡高校の!!」
ふふっと嬉しそうにららは弾んだ声でいい放つ。
「未茉も知ってるでしょ?やっぱ湊に余裕で勝てる相手は桐生だけでしょ!」

「嵐?」

「!?」
親しげに名前で呼ぶ未茉に‘まさか…’と驚きながら尋ねた。

「え……知り合い?」
「うん。仲良しだよ。」
「・・・!!!!!」
嘘でしょ!?と言いたくても驚きで開いた口が塞がらない。