「不破さん。」

「おっ、なんだよ。お前熱はいいの?」
名古屋第一が練習してる体育館に着替えてやって来た翔真は不破を呼び止めた。

「……三年前は確か俺が負けましたよね?」
「あ?」
唐突で意味が分からず睨む不破に、翔真は転がってるバスケットボールを手に取り、

「久しぶりに1on1やります?」

らしくないその誘いだったが、翔真が自分から言い出してくる時は、いつだって本気の時だってことを彼は知っていた。

「おう。おもしれー。」

パキパキと指の骨を鳴らして、目を輝かせながら笑った。
「こんなに腕が鳴る相手は全国にもそういねーからな。」
不破の言葉に翔真も微笑んだ。


ざわっ……ーーー
「すっげーな……おい。」
「なんっつーハイレベル……」

休憩を挟んでるものの、もう一時間以上、両者一歩も譲らずゴールを決めてはゴールを決め返し、ボールを奪っては決めて、奪われたら決め返してを繰り返す。

ーービシッ!!
「このやろ……!」
ボールを叩く音、激しいブレスに響くバッシュ音、ゴール下でのリバウンドの取り合い、体のぶつかり合う音、互いにすばぬけたジャンプ力を持ち合わせる空中戦に、

二人が繰り広げる技ありシュートの数々ーーーー

その全ては間違いなく全国でもトップクラスだった。


「翔真がマジになってるな…」
「っーかムキになってるっていうか……うめぇ……」
自分より上手い相手とやる1対1は格別なのだろう。
結城と三上はただ夢中で汗を流しボールを追いかけるそんな翔真を見守った。

「東京の無名校が王子学院を負かしたエースがいるってのはマジだったんだな……」
「あの不破とやりあえるなんて何者だよ…」
あまりの迫力ある接戦にに名古屋第一の部員達も時間が立つにつれ言葉を失い始めた。