「ん?」
足元を見ると誰か入浴中なのかスリッパが二足あった。
「なぁーんだっ!やっぱ風呂沸いてんじゃん!!いやっほぉーいっ!!」
未茉はスリッパを頬り脱ぎながら脱衣場に向かってく。

「るるるっらんらん♪♪♪」

朝焼け露天風呂を期待しながら、大きな声で唄う未茉に、


ザバァッ……!!

「ちょっと…ヤバイ!!誰か来た…!!」
「嘘だろ?!だってまだ四時だぜ!?」
悠々と女子風呂の露天風呂に浸かっていた一組のカップルに動揺が走り、立ち上がった。

「るっらぁ~~~ふんふんふんっ~~~♪♪♪」

ポイポイと脱ぎ捨ててガラッと大浴場の扉を開くと、
「ひゃっはぁー!!貸しきりッ!!泳げるじゃーんっ!!」
じゃっぱぁーんっ!とお湯に飛び込む未茉を露天風呂の窓からこっそり見ていたのは、

「あんな大きな声で熱唱しながらあんなことすんのは白石だっ!間違いなく白石だっ!!」

女子バスケ部キャプテンの前原だった・・。

「マジか・・・普通はあの鬼練で朝までぐっすり寝るはずなのに。さすがだ…」
関心しながらも頭を抱えるお相手は男子バスケ部の橘だった・・。


「どうすんのよっ!!こっちに来ちゃう!!」
「参ったな。とりあえずお前事情を話して、脱衣場のトイレに白石を誘導させて、俺その隙に出てくから。」
「はぁっ?!無理!!キャプテンでもあるあたしがそんなこと言えるわけない!!」
「大丈夫だよ。白石はああ見えて言いふらすような奴じゃないから。」

「そういう問題じゃなくて!!!キャプテンとしての私のメンツがーー」

と言いかけた時に、


「あれ未茉ちゃん?」

露天風呂の外壁一枚向こうから翔真らしき声が響いてきて二人は更にビクッと驚き震える。