「おっ、なんだ!大浴場空いてんじゃん!!」

さすがにプールの後は、シャワーを浴びたくて大浴場にやってくると、鍵は開いていた。
「ここ合宿所のクオリティー高いね。」
ホテルでも旅館でもないのに夜中も入浴できるなんて珍しいと翔真は感心する。

「でもさすがに温泉じゃないから風呂の湯はないんじゃない?」
「えーっ!ちょうど朝日みながら露天風呂浸かりたいのにぃっ!」
「未茉ちゃんもう五時だよ・・シャワー浴びて早く寝ようよ。」

膨れっ面の未茉の肩を抱きながら、一緒の浴場ののれんを潜ろうとする翔真に
「あっ!?なんかおかしくねぇーか?!」
「あははっ。そこは気づくんだ?」
「何言ってんだっ!?お前頭・・っ」
「さっき前菜を済ましたから、次はメインかと思って?」
ニヤニヤッと意地悪な笑みで微笑む獣の顔をした翔真に、

!!

「出たなッ・・・女子バスケ部一年の名言がっ!!」
「中々ハレンチだよね。あ、フレンチ?」
「あははっ!!バカか!!!」
「前菜からのメインでしょ?」
関心しながら頷く翔真に愕然としながら暗雲立ち込める未茉は壁に向かって一人ブツブツと考えこみながら、
「こんなにトントン拍子に翔真に流されていくならば……お前との男女交際はよく考えさせて頂くことにするよ。」

「ふむ。そりゃ困るな。」

これ以上は無理強いはできまいと顎に手をあて頷き、
「じゃ、呼ばれればすぐ行くよ。」
ニコッと笑いながら首にタオルを巻き手を振り、男湯に入ってく翔真に
「まず呼ぶことはねぇーな。」
「あ、露天風呂は繋がってるなら気軽に呼んでよ。」
「しっつけぇーな!」
ははっと笑う声が遠くなると、ガラッと勢いよく女子風呂を開けた。