二人の吐息が混じり合って…
さっきまでとは違うリップ音がプールに響く。


固く閉じられた瞼から自分を愛しく想われてるのが伝わってきて、どうしていいのか分からず翔真の肩に回す手に力が入ってしまうと、

全てお見通しかのようにフッと微笑まれ、何かをゆっくりほどいていくように頬やおでこに軽くキスされて、もう一度唇に戻ってくる。
「ん……」
舌をゆっくり絡められる度に、濡れた翔真の素肌にしがみつくように絡めていたはずの手の力が次第に抜けていった。

熱くて呼吸さえも乱れ落ちるようなその力強さに奪われ、翔真になら何されてもいいというおかしな感覚にその身を預けるように、深いキスを許した。

頬を辿るように触れながら、唇を少し離して火照る顔を薄目で確かめられながら奪い合う…

ピチャッピチャッ……と互いの髪や触れ合う体から溢れ落ちる滴が混じってく音が響いてく。


「…未茉ちゃん寒くない?」
「へっき…」
乱れる呼吸の中、答える自分の声震えてるのがまた照れくさい。
熱く火照ってく顔が熱が冷ますのにちょうどいい水温はのぼせた身体にはちょうどよかった。

「上がる?」
「やだ。」
甘えたいのか、恥ずかしいのか、それともまだ足りないのか、よく分からずギュッと抱きつくと、

「好きだよ。」

自分の心の中に浮かんだ文字を突然不意打ちで囁かれ、驚いて翔真の顔を見るといつもの笑顔で微笑んでいた。

もう心臓が騒がしくて対処できない。


「おい!!もう…あがるぞっ!!!」
歯がゆさから押し退けるように抱きついていた翔真から降りると、
「あははっ。」
きっと今変な顔してるのを見て笑われてるに違いないと思うと、もう顔なんか見れずに上がろうとしてしまうと

「あっ!リス」
「えっ!!?」
未茉は思わず振り返ると、
「嘘。」
舌出して二ッとする彼に抱き寄せられてまたキスされ、

「プールにリスがいるわけないでしょ?野生なんだから」
「お前・・・嫌な奴だなぁ・・」
睨みながら未茉が言うと翔真はしばらく笑っていた。