夏の夜、昔はよくパパが経営するクラブチームの体育館で遅くまで健兄と匠兄とバスケをして疲れはててコートで三人で肌を寄せ合い寝てしまっていた夢を見ていた。

あの頃、落ち着いていた肌の温もりとは違う。
今はこの胸の鼓動と体温とすがりつきたくなる体の厚みが何よりも落ち着く

……落ち着……

「ぐがぁ……ふがっ。」

記憶が飛んでいた未茉はおもむろに目を開けると、
「ん……」
まだ辺りは真っ暗だった。
シバシバする目を擦ると目の前には上半身裸の翔真が腕枕をしてくれながら雑魚寝していた。

(通りで落ち着くと思ったぜ……)
その胸に抱きつきながら寝ていることに気づくと

「「ぐがぁーーっ!」」
(しかし男くせぇし、イビキがうるさい・・・・。)
大の字になって布団を蹴飛ばして寝てる結城と不破の方から聞こえてくる。

「……ん、眠れないの?」

目を擦る未茉の頬に手を伸ばして翔真が聞いてくる。
「わりぃ…起こしちゃった?」
小声で聞くと、
「眠れないよ。未茉ちゃんがいると」
頬から輪郭に沿って親指を撫でながらどうにも愛しそうな目で映してくるが、

「イビキうるさいし、よだれは垂れ流しだし、大股広げてパンツ丸見えだし、気が気じゃない。」
眉を寄せ困った顔しながらながら翔真が言うから思わず声出して笑いそうになった。

「悪かったな帰るよ!今のうちに」
頬に触れられた手に未茉はそっと触れながら戻すも、

「いいよ。」
「?」
「可愛いから。」

でもやはり誤魔化しようのない愛しい目でそんな言葉を響かす。