「……すう。」
トランプの途中で寝てしまった未茉とららにそっと布団を被せてあげる翔真。
(もうこの時間じゃ見回りには来ないだろう。さて、どこで寝よう・・・)
もう一枚布団はないかと押し入れを物色していると、

「翔真、ちょっといいか?」
「ん?」
結城がベランダへと呼び出した。
「何?タイマンでもはるの?」
ベランダに出ると翔真は笑いながら言う。
「だからちげーってさっきのは!!」
しつこいなっと言いながら足広げて座る結城の横に翔真は笑いながら腰かけ東京よりも輝く雨上がりの星空を見上げる。

「わりぃ、嘘ついた。」
「え?下心?」
「殴るぞほんと。」
「あはははっ。」

いじりすぎて悪かったと反省しながら翔真は、
「サンキュ。俺が傷つくと思って早乙女といたこと隠してくれたんだろ?」
「来てたの知ってんの?!」
そのことを伝えようとしていた結城は驚くも、
「だよな。お前は見抜くよなぁ。そういうの。」
「愛を感じたよ。サンキュ」
「気持ちわりぃこと言うな。」
「あははっ。」
全てお見通しの憎めない笑顔の翔真に、

「でも俺もお前がいなかったら白石に惚れてたかもな。」
「惚れてたよ。てか惚れてる?」
「…惚れねーよ!!お前の女だし。」
「俺の女じゃないけどね。」

「お前に勝てるもんなきゃ太刀打ちできねぇ恋なんかしたくねぇ。だから早乙女も身引いてんだろうな。」
「……」
「味方でもお前は強敵だ。」
「やっぱり惚れてる?」
「だから違うっ!」

‘大事な友達なのに応えてやれぇねぇのが辛いんだよ’
「でももし、惚れたらあんな顔させるんだなぁ……」
さっきの雨の中の未茉の苦しそうな表情を思いだし、

「お前がなかなかコクらなかった理由がようやく分かったよ。」

「…うん。」