「雨だから結局肝試しはできなかったなぁー。」

大浴場から出てタオルドライしながら窓につく雨粒を見ながら未茉は嘆いた。

「あっ、未茉!!」
ガラッと女湯の扉を開いてひょこっとららが顔を出した。
「ねぇ!これから明徳男子部屋でトランプだって行こうよっ!」
「えっ!!マジ!?行く行く!!」
未茉はさっさと着替えて浴場を出て向かった。


「あ、なんだよまた来たのかよ。大嘘つき女が。」

カードを配り始めようとした時に現れた未茉とららの姿に不破は冷たい目で睨んだ。

「なんだと不破!おめぇまた今夜もここで寝る気かよ!名古屋男子の部屋に帰れよっ!」
「うっせぇー!てめぇこそ女部屋に帰れっ!」
二人の小競り合いが続くと、キタローは、ユニフォームや洗い物を畳み途中だがスッと立ち上がり部屋を出ようとすることに気づき、

「キタロー!!待ってキタローもやろうよ!!」
未茉は立ち上がってキタローの手を引っ張ると、

「おわっっ!!なんだソイツいたのか!!?」
邪魔にならないように気配を消していたキタローの存在に初めて不破は気付き、後ろへ反り返る。
「顔色悪っ!!てかなんで片目なんだ!?しかも甚平姿!!怖!!」
騒ぐ不破を一同は完全に無視して、

「仕事ならあたしも手伝うからたまには息抜きしよーぜ!いつも遅くまで仕事してるじゃんか。」
「そうそう!私もいつも手伝ってもらってるから手伝うし!」
未茉とららがそう優しく背中を叩いて、キタローを座らせようとすると、その姿に翔真も三上も笑みを見せた。

「おう、こっち座れよ。」
結城が隣を空けてキタローの入るスペースを作ると、
「……」
戸惑いつつもキタローは未茉に促され座った。

「じゃあたしキタローの隣ぃー!」
ドンっ!とケツキックで結城に当たって隙間に入ると、
「いってぇんだよ!てめぇ!」
「「あはははっ!」」